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物件選定における心理

今日は朝からお世話になっている会社様との情報交換会に行ってきました。
業態や職種も様々な人達なので、意外なところから新しい考えが閃いたりして、日々勉強だなといつも感じます。私のブログタイトルは「日常のひらめき」ですが、何かが閃いたりする時は、仕事中でも、お休み中でも、決まって何気ない時間を過ごしている時の様な気がします。



先日のブログで居抜き物件の紹介をしました。
物件はまだまだあるのですが、詳しくは「店舗そのままオークション」にも掲載しているので、ご覧くださいませませ

これからこのブログで、「居抜き物件」を、色々な角度から考えていこうと思います。
でもちょっとそのまえに、物件選定(今回は飲食店舗をメインに)における考え方として、大前提のお話をします。

例えば、梅田駅徒歩1分交差点角立地で15坪で坪1万円ラーメン屋居抜き造作価格無料敷金3カ月分・・・のような夢物件は、残念ながら存在しません(笑)
ならば、相場より家賃が高い、感覚的に場所が悪い、契約形態における年数が短いなどなど、一般的にリスクと呼ばれる部分をヘッジできるかどうか、これから行う業態でカバーできる可能性が高いマイナス要因かどうか・・・などを、最も重点的に考える事が、物件選定では重要だと思います。

私は、「良い部分が悪い部分を十二分にカバーできる物件」など全物件の1割程度だろうと考えています。カバーしきれない残りの部分は、都市開発によって突如舞い降りた恩恵など以外では、自らの経営でなんとかする以外ありません。ここで言う良い・悪いは物理的(角地、店舗階数、視認性、契約内容など)、統計的(通行量、家賃相場、対年齢客層、地域風評など)な内容を可能な限り数値化したものです。
しかし、一部の企業を除き、多くの個人、または企業が物件の良しあしを判断する最も多い理由は、


「なんとなくの総和」


なのです。


なんとなくの内訳は、「信頼する知人から聞いた情報」、「TV・情報誌」、「店舗運営成功体験からくる印象」、「対象物件の近隣に長年住んでいて良く知っている」、などなど。ほとんどが先ほど述べた物理的・統計的ではなく、いうなれば感覚的・経験則的といった、数字では無く、記憶や感性による判断基準なのです。

特に数店舗を経営して、なおかつ成功しているオーナー様は、自分の感覚に絶対の自信を持っている方が多くいます。「俺は物件を一目みれば、大体の事は分かる」といわんばかりのオーナー様はごまんといます。それとは対照的に「全国1000店舗を黒字再生させた!数字で運営をひも解くコンサルティングアドバイザーの達人」のような理詰めのような感じの方もいます。
ここで1つ質問ですが、単純な比較として、いつもお世話になっている信頼できる知人、上記にあるオーナー、1000店黒字コンサル、この3人が無償でアナタに物件選定についてのアドバイスをしてくれたとした場合、どの言い分にどの程度の割合で信頼を置きますか?

答えは、突き詰めるとほとんどの人が後者のコンサルティングアドバイザーだと思います。

順位としては、
知人20%<オーナー30%<コンサル50%
といったところでしょうか。

理由としては1000店舗の黒字化という響きが、論理的な成功への手法を享受できそうという印象受ける・・・などが主な理由としてあげられると思います。やはり数値や統計は、どの分野でも大きな信頼を獲得するツールと成り得ます。しかし実際の現場は不思議な事に前者のオーナーや知人の意見をおおいに参考にしている人がほとんどなのです。






この矛盾は一体なぜ生まれるのか。


まず第1に「人間関係」
ずっとお世話になっている人、過去に店舗運営の事以外の事で相談して意見をもらい、その内容が現在信頼できる内容に具現化した人など、利益を目指す店舗運営とはおよそ関連が付かない「信頼」によって、この矛盾は成立しています。人として、人生の先輩として、過去の実績としての信頼を、利益を上げるために行う行為に対しての信頼に繋げているのです。


第2に「先人の意見は絶対」
複数店舗のオーナーが語る成功体験は、間違いなく役に立つという信頼が、これから行う店舗運営すべてに関係する内容であると時間と共に考えるようになり、結果的に大きな信頼を寄せるようになります。これを私は「成功体験の万能性」と呼んでいます。加えてそのオーナーと同業態を目指すならば尚更この傾向は顕著に現れます。最初は「良いと思う所は参考にしよう」との姿勢が、いざ重要な決定を行う時に、オーナーの意見が、時間経過に比例して発達し「絶対的な意見」となり、いつの間にか決定事項に大きく寄与してきます。


この2つに共通することは、程度の差はありますが、性格の違う信頼力を、目的である店舗運営に関係する信頼力に変換・換装してしまっているということです。なぜそのような事が起こるかをひとことで表現するのは難しいですが、敢えて言うならば「距離」です。オーナーや知人との人間関係としての距離、心理的な距離が近いほど、自分では気付かない内にこのような状況になっている場合が多く、結果として判断に大きく影を落とします。


では統計などの物理的な数値に絶対的な信頼を置くのかというと、みなさんご察しの通り答えはNOです。
ここで私が言いたいのは、ミクロとマクロの思考を混在させてしまわないようにすることなのです。

なんやねんそのミクロとマクロの思考て?かっこつけやがってえらそーにと思ったアナタ!!
もうちょっとだけ読んでみて下さいませ


まずミクロは、分り易く言い換えると「△△市○丁目付近」「周辺店舗オーナーの意見」「独自サービス」「地域別ルール」などなど、比較的狭い範囲といえる内容。
マクロは「都道府県」「各種統計」「基本的営業規律」「エンドに対するサービス」「気持ちのよい言葉使い」などです。

ケースバイケースでミクロ・マクロの意味合いは変化しますが、ピンポイントで見た物件と、遠くから眺めた物件では意見はかなり違ってくるということなのです。
言い換えると、ミクロの意見は、マクロで通用しない場合があり、逆もまたしかりなのです。

余談ですが・・・
ミクロとマクロで大きく違うのは今回のケースだけではなく、皆様の良く知るミクロ・マクロ経済学でもおなじみですし、難しい話になりますが、物理学の世界でも同じです。人間が暮らすマクロ世界では「質量保存の法則」(「化学反応の前後で、それに関与する元素の種類と各々の物質量は変わらない」という化学における保存則の一つ)は当たり前ですが、素粒子物理学の仕事場であるミクロの世界では、質量は化学反応の前後でハッキリいってメチャクチャです(笑) いかにも理路整然としてそうな科学でさえ、大は小をまったく兼ねないという事実があります。なので人の心理や不安が決定を左右する今回のケースでは至極当然の事なのかもしれませんね。




おっと脱線しすぎました話を戻しましょう。
しかしこの「どれを優先するかの判断」がかなり難しい。以前ある重要な意見を聞いていたが、後日にインパクトのある別の意見を聞いて以前の意見の重要度が薄れて忘れたり、対象の物件の場合、ミクロ・マクロどちらのどの内容に比重を置くかの判断などです。前述したコンサルは比較的マクロ寄りの意見、オーナーや知人はミクロ寄りの意見が多いのではないでしょうか。


総じて結論付けると・・・
■人間関係や成功体験の万能性としての意見も非常に重要です。しかし一方の意見、成功者の経験則などに重きを置くことは、知らず知らずのうちに自らの思考停止を誘発する危険性を孕んでいます。どんなに親しい間柄でも、正確な判断ができなくなるような距離まで近づくことはせず、コンサルのような一定の意見にも、可能な限り数多く触れることが、よりリスクを排除できる近道ではないかと私は思います。物件選定の段階からコンサルを行っている会社は少ないですが、市が行っている統計などは、おおいに活用すべきです。そして物件を選定する中で「この内容は重要だ!」と感じた時は、意見の発信元、日時、感じた感想などをメモに取って保存しておく事をオススメします 後にいくつかのそれを並べて確認した時、自分が何を重要視しているか、誰かの考えに傾きすぎていないかなど、客観的に確認することができるからです。




「たかが物件選びにそこまでやってらんねー」と思われるかもしれません。



しかしそれでも私は慎重になりたいと思います。
なぜなら、物件選定の行為は、「その人の人生に介入する」くらいの気持ちがあるからです。
個人の店舗運営とはほとんどの場合、経営は人生と生活の中心になります。法人でさえ社運の一翼を担っている場合がほとんどです。なのでいざ決定する時、私も横から口出しします(笑) 一般の不動産屋ではありえないと思いますが、かなり意見を言います。しかもマイナス面を重点的に(笑) その時うっとーしく思われてもいいんです。お客さんが成功しないよりはマシです。イチ意見として捉えて頂き、いい距離を保ちつつ最後までお手伝いできればと思います。




次回は「居抜き物件の金銭的価値について」を考えてみたいと思います。
なんだかんだ言って、やっぱりお金は重要ですからね(笑)






テーマ : 仕事
ジャンル : 就職・お仕事

プロフィール

Saymer

Author:Saymer
洋楽ロック(80’s~90’s)と、スポーツ(球技全般)をこよなく愛しております。海山で自然との遊戯を好み、時間と資金と心に余裕があればすぐに動き出します。
読書も好きで、政治経済から推理小説、宗教理念やノンフィクション物まで何でも読みます。いい歳してTVゲームも好きで、結局インドアなのかアウトドアなのか自分でもよく分りません。
法律と科学を好み、文系か理系かこれまた自分でもよくわからない嗜好の持ち主です。
免疫力が弱いらしく、すぐにウイルスに負けてしまいます。阪和線で季節を問わず鼻水たらしながら本を読んでいるヒトを見かけたら、それは多分私です。

仕事は大阪の工務店で、不動産事業を行っております。
主に店舗不動産の仲介、売買、コンサルティングですが、収益物件取引、住居・店舗の賃貸や管理なども行っております。

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