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契約の決め手、最後は人だと思う

3月も下旬です
日本には悠々と繰り返される四季があり、子供の頃、一年中常夏の国があることや、太陽が沈まない街があることが、とても不思議に感じたことを覚えています。人恋しくなる季節は人それぞれ違うでしょうが、私は決まって秋に感じる事が多く、冬には過去を思い出すことが多く、夏の夜には高揚感を感じて、春の昼間には、決まって子供のころに描いていた大人になっていない自分がいることを認識します。なぜかは分かりませんが、思い返せば毎年同じような思念を巡らせているように思います。仮に季節がそうさせているとしたら、日本人は色々な感性を四季から享受しているのかもしれません。それはおよそ人知の範囲ではなく、地球規模での人類の性質向上に対するヒーリングが行われている・・・といったところでしょうか(笑)





■契約は感情が左右する■

みなさんこんにちは
今日は「契約」について考えてみたいと思います。

弊社の不動産事業は、業務の内容上、お仕事のエリアは関西全域を対象にしています。
最も活動実績があるのは大阪ですが、京都や奈良へも数多く足を運んでいます。しかし、本来の不動産業は、一部の物件を扱う場合を除き、ほとんどの場合が地域密着型の営業スタイルとなっています。

このように地域に根差した不動産屋さんが多いのは、不動産業の性質上、その地域の詳細な街の内容、慣例、事件などに熟知している方が、信用、信頼を得やすいからです。それは物件を購入・賃借するお客さんから見ても、物件の売却・賃貸をお願いする家主さんから見ても同様です。不動産業では情報が命です。その情報をより多く集める事が、多くの契約に繋がるのはスケールメリットから見ても明らかです。下手な鉄砲数打てば・・・ではありませんが、実際にはそういった意味合いが強いと思います。

ましてや店舗不動産となると、物件の価値に対して立地が占める割合が極端に強く、いかにその情報をリークできるかが、収益に直結しているのが現状です。そこには規律だったルールは無く、ニーズばかりが独り歩きした無法地帯に店舗不動産は位置しています。

情報が命の不動産業ですが、同じ情報であれば、極論ですがどこからその情報を入手しても、情報の内容はさほど変わりません。サンクスで買うシーチキンおにぎりと、ローソンで買うシーチキンおにぎりは多少違いますが(業界の方々には失礼かもしれませんがシーチキンおにぎりには変わりありませんシーチキン好きな私はなんだかお腹が空いてきました

このように大差ない情報や、商品等の購入・契約を決定するとき、選定する一番の決定要因は、間違いなく人間です。その人が以前からお世話になっているなどの場合を除き、対応している人間の良しあしによって決定されることはどの世界でも同じでしょう。あそこのコンビニの店員は無愛想だから行かない・・・といったことはよくある話です。そしてこれは購入者・契約者側、販売者・提供者側双方に、同じ割合で同じ量のリスクとアドバンテージを担保しています。

お客さん側が、店員や営業マンに感じる心理的な嫌悪感や安心感があるのと同じように、店員や営業マンがお客さん側に感じる心理的な嫌悪感や安心感も存在します。それに気づくか気付かないか、感じるか感じないかの差があるだけで、双方の心理が購入意欲や契約内容に作用します。よって商いの性質上、商人がクライアント側に感じた内容を契約や販売に反映させることも当然に存在し、顧客側もほとんどの場合、反映させるか否かを自由に選択できます。不動産の場合、業者側から見た契約への判断基準は、収入や法人規格などで半分以上は決定されます。この内容はすぐに変化できるものではなく、違法な行為を除き信頼度は十分です。ですが、今回の話で重要なのは残りの半分の方です。







●危機管理能力は満面の笑顔を好む●

ここで1つケーススタディといきましょう


・3月某日、雨が降る週末に、大阪市で50年の老舗店舗「セイマー不動産」に、男Aが部屋を借りたいと訪れました。少し皺の入った時代錯誤のダブルのスーツを着た彼は、水滴を落とすために傘を店内でバサバサとしながら、自分は現在埼玉県で働いているが、もうすぐ転勤があり大阪市内の営業所へ異動になると言っています。カウンターに座り詳しく聞いてみたところ、所属法人からの家賃補助は出るが、契約は個人、賃料の支払いも個人で行うとのことでした。
いくつかの物件を紹介・内覧した結果、少し希望からは外れましたが、賃貸マンション「マンション四季」の1室を申し込むことになりました。部屋の広さや設備の割には、家賃も安く人気のマンションです。未だに家賃の支払いが、「振込み or 手渡し」という事以外は何も不自由がないと評判です。家賃は交渉でどうにかならんのかねぇーと呟き、カタカタと貧乏ゆすりをしながら申し込みに必要な事務処理を終えると、ポポポポ~ン♪とどこかで聴いたようなメロディを鼻歌交じりに、彼は埼玉県へ戻って行きました。

・男Aの内容、希望、申し込んだ部屋の条件は以下の通りです。
【 男A:48歳 営業部 年収450万円 独身 保証人は従兄に検討してもらっている 】 
【 希望:合計55000円以内で広くて角部屋で上層階 】
【 家賃:55000円 共益費:2000円 保証金:20万円 償却:10万円 1F角部屋 】


次の日、埼玉県の同じ法人で働く男Bが、にこやかな雰囲気で、部屋を借りたいのですが、と相談にやってきました。経理部なのになんで転勤があるんでしょうねまったく・・・と内覧中も冗談混じりで話をしています。契約形態などは、全て昨日の男と同じ内容を話していました。どうやら大がかりな異動がこの法人では実施されるようです。身なりも受け答えもきっちりして、なるほど経理畑の印象そのままだな・・・と、偏見と一般論が構成したような雰囲気を醸し出しています。
彼が申込をした物件も「マンション四季」でした。昨日も同法人のAさんがこのマンションを申込ましたと伝えると、少し怪訝そうな表情になりましたが、Aさんが申し込んだのは1階ですと伝えると、あいつなら1階がいい、色んな意味で・・・とどこに目線を合わせるわけでもなく言い放った後、私が同じマンションに住むかもしれないという内容は男Aには伏せておいてくれと言いました。そして感謝の言葉と共に、あと5日程度大阪に居ますのでと伝え、彼は帰っていきました。

・男Bの内容、希望、申し込んだ部屋の条件は以下の通りです。
【 男B:31歳 経理部 年収350万円 娘1人と妻の3人家族、単身赴任 保証人は父親 】
【 希望:合計55000円前後、できれば最上階の角部屋、静かな立地がいい 】
【 家賃:57000円 共益費:2000円 保証金:20万円 償却:10万円 最上階中部屋 】


2人の契約を担当するのは、セイマー不動産期待の星「つるちゃん」です。(なぜカエル?)つるちゃんの契約はトラブルがほとんどないので、店長からも、今回申込みをした「マンション四季」の家主さんからも、大きな信頼を獲得しています。最近結婚した彼は、嫁とのおこずかいUP交渉が決裂したので、なんとか歩合給を稼ぎたいと必死になっていますが、慎重な性格の彼は決して契約を私利欲を満たす方向に向ける事はありません。つるちゃんの経験では、2人とも内容的にはまず大丈夫だと思っています。


つるちゃんは、まずは男Aと契約のやり取りを進めようと思いました。追加の重要書類の郵送や、保証人の確認など、色々と伝える事があります。男Aは埼玉県に戻っているので電話でのやりとりになっています。しかし電話は繋がらないことが多く、いつもつるちゃんが留守電にメッセージを残していました。しかしいつまでたっても男Aから保証人が確定したという報告はありませんでした。これでは進捗具合を伝える事ができません。そこでつるちゃんは何か考えています。

次につるちゃんは男Bとのやりとりを始めました。申込みの結果は出ていませんが、甲斐性、家族構成などから、男Aより与信に少し信頼性がありません。案内時や申込時にもその部分についての説明は行っています。男Aとは対照的に、男Bとの連絡は、繋がる事が多く、留守番電話にメッセージを残すと、すぐに折り返しの電話がきました。家賃もうひとがんばり難しいですかねぇ・・・というさほど深刻そうでもなく、笑い声も交えながらのお願い事も、つるちゃんには1つの判断基準として映っているようです。


結果として2人の契約内容は以下の通りとなりました。

男A
【家賃:53000円 共益費:2000円 保証金20万円 償却:10万円 保証会社保証料:25000円 】

男B
【家賃:54000円 共益費:2000円 保証金20万円 償却:10万円 】


概ね2人の希望条件に則した契約内容となっています。しかし男Aには保証会社(賃料の支払いを家主に保証するサービスを行う会社。家賃滞納時、入居者に代わり保証会社が家主に賃料を支払い、のちに入居者から家賃の回収を行う。)の契約が付いています。支払い債務的与信に関しては、家族持ちで年収も低い男Bの方が悪いはずですが、これはいったなぜでしょうか?







●契約内容も人が決める●

では、どのようにして契約内容が決まったのかを、つるちゃんと「マンション四季」の家主さんとの会話を見ながら考えてみましょう。


「もしもしお世話になっております、セイマー不動産のつるちゃんです。」


 「あ~つるちゃん。いつもどうも。今回は申し込み2つもありがとね♪」


「いえいえ、前回も無理な交渉内容を承認頂いてありがとうございました。」


 「まぁねぇこんな時代だから・・・ウチみたいなボロマンションは仕方ないねぇ。」


 「そんなことないですよ?立地が抜群だし、何よりリフォーム具合がいいですよ。」


 「そうかい?リフォームは阿倍野にある老舗工務店がいつもお世話してくれるんだよ。」


 「へぇ~頼もしい工務店さんですね♪こんど別の家主さんにも紹介してみますよ。」


 「ぜひそうしてやって。いい会社だから。」


 「ありがとうございます。ところで今回の2つの申し込みですが・・・」


 「ああ、申込書は見たよ。収入や会社的には特に問題ないとは思うけどね。


 「私も同感です。ですがこんな時代なので、賃料の減額を希望されています。」


 「まぁ仕方ないと思うしかないねぇ。2人ともかい?」


 「2人ともです。すみません・・・」


 「そうかい。それで間違いなく決まるのならいいんだけどねぇ・・・」


 「1人はもう埼玉県に帰りました。もう1人も明日朝1番の飛行機で帰る予定です。今から別の物件に流れることは考えにくいとは思います。」


 「なるほど。それなら私も決断しやすいね。で、2人はどんな感じの人?


 「私の受けた印象では、男Aさんは、申込内容を少し再検討する余地がある気がしています。」


 「へぇ、そりゃどういう意味だい?」


 「実は男Aさんとは、最初からなかなか連絡がつきませんでした。電話も何回も繋がらないことが多く、折り返しの電話もありません。重要な内容の確定にも時間がかかっています。」


 「たまたま忙しかったのかもかもねぇ?」


 「もちろんその可能性もあります。しかしここまで折り返しの電話がないとなると、経験上少し疑問符がついてしまします。」


 「たしかに折り返しは、自分のタイミングでできるもんねぇ。」


 「まぁ最終的なご判断はお任せしますが、その他にも全体的に見ての印象があまり良くないところもあります。」


 「う~ん、確かに過去に何回か痛い目みてるしねぇ・・・じゃあ保証会社を付けてもらおうかねぇ。」


 「わかりました。保証会社へ審査依頼をかけておきます。本人にも説明しておきます。」


 「手間取らせて悪いねぇ。」


 「いえいえ、実は収入と未払いは一概に比例しないところもあるんですよ。」


 「まぁそこは人間性の問題にもなるしねぇ。ウチのマンションも引き落としにしたらいいんだけど。」


 「でも法人はほとんど振込ですよ。今回はたまたま個人契約でしたが。業者まかせになるのが気になる家主さんも多いようですしね。」


 「私は昔からの習慣に慣れてるから、変わるのが嫌なだけなんだけどね(笑)」


 「お気持ちは理解できます。」


 「もう1人のお客さんはどんな感じだい?」


 「そうですね、、私から見て男Bさんは問題ないと思っています。全体的な印象も連絡のレスポンスも問題ありません。」


 「そうかい。じゃあそのままいこうか。


 「こちらも多少の減額を希望されていますが・・・」


 「いいよ。そのかわりつるちゃんの固い内容の申込みに今後も期待してるよ。」


 「プレッシャーですね(笑) ありがとうございます。」







実際に、不動産業者と家主との間で取り交わされている話の内容を知る術はありません。守秘義務などの名目で、決定までの行程は公開されず、お客さんとしては、ただ待つのみ、信用するのみです。そしてどんなに小さな取引であったとしても、上記のような話合いは必ず存在します。重要なのは、その中で話し合われ決定される内容の全てに、印象、経験上、心理、といった明確な根拠のない要素が決定要素として作用していることです。

今回の論点としては、そういった内容で決定されていることへの対策ではなく、そういった内容で決定されていることを十分に認識し、契約に対する納得度を再確認することにベクトルを向けています。ちょっとした行動やしぐさが、発言と結び付けられてその人の印象となります。本人にはその気がなくても、プラスマイナスどちらかへの印象へ傾くのです。お互いがお互いを無意識に、しかし判断の材料として観察しています。今回のような小額の契約でも、10億円の収益物件でも、間違いなく人は人を見ています。お客さんは営業マンを、営業マンはお客さんを見て、契約するかどうか、もっと言えば安全な契約が出来るかどうかを、お互いに見極めているのです。

男Aの店内に入ってからの行動や連絡の繋がり具合、男Bの、にこやかな態度や対応、発言のニュアンスなどが、つるちゃんの判断材料になった可能性があります。男Aについては、折り返しの電話が無いだけであれば、保証会社の契約は無かったかもしれません。態度や行動、発言も、つるちゃんの危機管理思考に関与した可能性があります。男Bについても同じ事が言えます。契約に対する誠実さや、減額交渉に対する態度が、収入による判断以上の付加価値を与えていたのかも知れません。



___________________________________________________



■他人同士だからこそ■


先日、京都の物件を問い合わせたところ「大阪の業者は信用ならん!じゃまくさい!」と言われ、その後、もうこの物件は申込が入ったから!と言われ電話を切られました。納得がいかなかった私は、京都の宅建協会に現状の報告をしました。
すると、受け答えをしていただいた宅建協会の事務の方から驚きの返答。


協会 「図面が欲しいのですか?それとも謝ってほしいのですか?どっちですか?」

私 「・・・」

協会 「違うんですか?どうしてほしいんですか?」

私 「あの・・・その前に1つ聞きたいのですが、お宅は何のために存在するのですか?」

協会 「不動産情報が円滑に流通できるようにです。」

私 「はぁ・・・(それができてない可能性があったから電話しとるっちゅーねん!!)」


私はガクッとなりました。こんな受け答えをする人間が協会の窓口を担当しているのかと。その後のやりとりも、会話の前後に整合性が無く、そのことを問いただすと、覚えていません、忘れました、言った言わないになるから言いません、と意見を翻す始末終始学生と話しているようで(まだ学生の方が優秀な気が(笑))、最後は諭すように話しながら、疲れ果てて電話を切りました。





契約の決定までには、様々な要素が絡み合っています。
収入はもちろんのこと、上記で示したような感情的な部分も、決定に関して大きくウエイトを占める可能性があります。そしてほとんどの場合は、知らない人同士がお互いに対価を払い合うことになります。そういった中では、お互いの一生懸命さは必ず伝わり、いい加減な対応も気付かない内に捉えられています。契約とは、人と人が行う約束事です。書類や審査基準に目がいきがちですが、最終的には人間が判断を下します。その中で重要なのは「心の通った行為」です。たとえ収入が基準値以下だとしても、なんとか出来ないのか、お互いに納得できる手段はないのかと双方が考えることが、納得度の高い契約を生みだすと思っています。たとえダメだったとしても、伝え方が良ければ結果も円満になるでしょう。そして聞き方が良ければ、営業マンの更なるモチベーションへと繋がることもあるしょう。




契約の半分は感情で動きます。

感情で動かない契約は、ロボットが相手の時くらいです。
他人同士が締結する契約とは、双方の疑心暗鬼をひも解く会話の結果でもあるのです。

契約とは、そうしたお互いの理解を深めた結果だと思えれば、お客さんや営業マンとの接し方も、相手の為を思って動くことができるのではないかと、私は常に思っています













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テーマ : 仕事
ジャンル : 就職・お仕事

プロフィール

Saymer

Author:Saymer
洋楽ロック(80’s~90’s)と、スポーツ(球技全般)をこよなく愛しております。海山で自然との遊戯を好み、時間と資金と心に余裕があればすぐに動き出します。
読書も好きで、政治経済から推理小説、宗教理念やノンフィクション物まで何でも読みます。いい歳してTVゲームも好きで、結局インドアなのかアウトドアなのか自分でもよく分りません。
法律と科学を好み、文系か理系かこれまた自分でもよくわからない嗜好の持ち主です。
免疫力が弱いらしく、すぐにウイルスに負けてしまいます。阪和線で季節を問わず鼻水たらしながら本を読んでいるヒトを見かけたら、それは多分私です。

仕事は大阪の工務店で、不動産事業を行っております。
主に店舗不動産の仲介、売買、コンサルティングですが、収益物件取引、住居・店舗の賃貸や管理なども行っております。

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